正楽寺は、真言宗勧修寺派に属する古刹です。創建当時は野洲の山賀村にありましたが、元亀年間(1570~1572)の火災で焼失。その後、享保18年(1732)実應僧正により現在の地に移設されました。地名の霊仙寺は大寺院でありましたが、いつの頃か衰退し廃寺となりました。正楽寺の境内には霊仙寺の名残である鎌倉時代の石塔(栗東市指定文化財)があります。
本堂に座します本尊は阿弥陀如来、両脇に観音菩薩と勢至菩薩の三尊形式で、藤原時代の作風です。山門右手には毘沙門堂、左手には不動堂、境内には地蔵堂、小さいながらも真言密教の寺容を備えています。
山号の「碧雲山」は水辺の山を表し、院号の「霊仙院」は霊仙寺のゆかりを示しています。
ご詠歌「碧雲に弥陀の浄土を尋ぬれば霊仙坊のまことぞあり」は、霊仙僧正という、日本でただ一人三蔵法師の称号を得た構想の御心を偲ぶものです。お参りは心の洗濯。折にふれお参りいただき、この身の変化によって人としての誠を行じ、この社会に極楽浄土の世界を実現したいです。合掌 (正楽寺山門の表札より引用)