鎮座年代不詳。口碑によれば、宝永四年(1707)下今井村香取・稲荷・熊野と各三社相斎きたるなりといわれている。俳聖芭蕉翁たまたま当社へ詣で、「茶水汲むおくまんだしや松の花」の名句を奉る。あわせて当社をおくまんだしの社ともいう。現在の稲荷神社はもとの熊野神社の社殿にして、明治中期社殿を建立したものである。「おくまんだしにて、大碇ぶつさしてあり花堤」(鳴瀬)の句もある。正月初詰りには亀井和泉守九字切の矢の授与ありて境内がたいへん賑わう。例年二月節分の日は総代代表道ケ嶋香取神社(新小岩香取神社)に奉幣を行なう。例年六月三十日には、古式の大祓形代神事が行なわれる。(東京都神社名鑑より)