馬狩(まがり)にある寺院跡地。かつて浄土真宗の寺院・信称寺があった場所である。
信称寺は阿弥陀如来を本尊とする寺院で、両円が創建したと伝わっている。両円はもともと加賀国で刀鍛冶をしていたのち旅をして馬狩に住み着いた与左衛門という者で、照蓮寺で仏教を学び、出家したという。また相当な力持ちであったという伝承が残る。
昭和48年(1973年)、人口減少などから馬狩地区の住民が集団離村をしたこのとき信称寺も廃寺になったと思われる。
馬狩地区は離村の際、トヨタ自動車による離村費用支援のため土地はすべてトヨタ自動車に購入され、信称寺含め残された合掌造家屋はトヨタ自動車により従業員の保養施設とされた。しかし雪下ろしなどの適切な管理がなされず、8年後の記録的な豪雪によって2軒を残して倒壊すると放置状態となってしまった。昭和57年に信称寺本堂は民家園に移築された。その後馬狩地区は東海北陸自動車道のトンネル工事残土の埋立地になるなどした。トヨタ自動車はこの地を有効活用することとし、2005年4月にトヨタ白川郷自然學校として整備した。現在も唯一残った合掌造家屋は残されている。
旧信称寺本堂は民家園に移築されたあと、芸能堂として使われている。また本堂のあった地には基壇が残る。