旧竹林院は、天正二十年(1592)に創建された里坊の跡である。
江戸中期の『山門三塔坂本惣絵図』にも描かれ、江戸初期建造の書院庭園は名園として有名であったといわれている。
しかし明治の神仏分離以降に衰退し、寺院としては廃絶。やがて資産家の手に渡り、庭園もこの頃に大改修されて現在の姿となる。
主屋は明治三十年に建てられ、大津市指定重要景観建造物である。
茶室や四阿は、大正時代に建てられたもので、大津市指定文化財である。
旧境内の南西に広がる池泉回遊式庭園の面積は3,300㎡で、これは坂本の里坊庭園の中でも最大である。八王子山を借景として、大宮川を引き込んで曲水を庭園全体に巡らし、滝組、築山、茶室、四阿などを配し、地形の起伏を活かして変化に富んだ景観を巧みに構成している。
旧竹林院庭園は、国の名勝庭園に指定されている。