泰心寺を開山した田代雄道(1928~2010)は、昭和3年、田代家の10人兄弟の長男として静岡県にて生れ、法政大学を卒業しました。
戦時中、横浜大空襲の混乱期にあっては、人々が逃げ惑う町を消防士として命がけで駆け回る青年期を過ごしたとの事です。
幼少より、父 田代正雄(泰心院正道良雄居士位)より仏教を学び、三菱重工を定年退職した後は、念願であった仏道修行に励むこととなり、平成7年5月、天台宗寺門派(三井法流)の門跡寺院にて正式に出家得度致しました。
そうした中、地域にあっては民生・児童委員を長年務め、近所の方々の相談に応じるなど、福祉活動にも力を注ぎました。そんな環境もあって、娘の田代照蓮と孫の文子も共に泰心寺をお守りすることとなったのです。
小さな小さなお寺ではありますが、田代雄道の発心修行によって、まさに「心のお寺」として誕生する運びとなった次第です。
平成22年7月の事です。田代雄道は、生前、天台宗の精神でもある「一隅を照らす」という伝教大師最澄のお言葉を座右の銘とし、病の床につくまでその信念を貫きました。
娘の照蓮が修行に入る前は、動物たちとの触れ合いも生活の一つとしておりましたが、雄道の亡き後、比叡山延暦寺 天台宗総本山(山門派)に出家得度。
平成27年10月比叡山大講堂にて、法華大会廣学流儀(ほっけだいえこうがくりゅうぎ)を修了しました。生きとし生けるものすべてのものに対する慈悲心は生涯変わらず、その精神は、楽音山泰心寺の魂となって今も生き続けているのです。